「シマノのパワーメーターで強くなる!」モニター1期生 本番で驚きの結果が……
シマノの最新パワーメーターを使っているサイクリストを応援する、ユーザー参加型連載企画「シマノのパワーメーターで強くなる!」の第3弾。福田昌弘コーチによる指導を受け、シマノのパワーメーターでトレーニングを積み、本番となる「乗鞍ヒルクライム2023」に挑んだモニター生の結果はいかに!?
年代別2位入賞!〜脚がパンパンにならなかった
指導開始時は上半身がかなり揺れ動き、いわゆる“踏み遅れ”が生じていて、ペダルを下に踏みつけるようなペダリングになっていた。これは多くのサイクリストに見られる典型的な症状だ。
それが指導の結果、だいぶ上半身の揺れが抑えられるようになってきて、かつ踏み遅れにも改善が見られてきた。
本番の結果は……年代別クラスで見事に2位に入賞となった!
「かなりペダリングのことを意識しながら走りました。その結果、100%の実力を発揮できたと思います。特に、指導で言われていたように股関節をうまく動かすことを意識していたら、前腿を温存できた感覚がありました。今まではレースではすぐに脚がパンパンになっていたんですが、今回はそういうことがなく、先に心肺が疲れてくるくらいでした」と杉本さん。
「基本的に“下踏みペダリング”だったのが、レースの『ペダリンググラフ』を見て、それなりに改善されているのが分かります。まだまだ改善の余地は大きいですが、結果に結びついてよかったですね」と福田コーチ。
1時間20分切り達成!〜1時間を超えるレースで痛みも出なかった
東京都内在住で50代女性のまぬる猫さん(ペンネーム)は、1時間20分を切るという目標を掲げていた。女性としてはかなりの好タイムである。
彼女は脚に手術歴があり股関節をうまく動かすことができないことから、サドルをかなり高めにセットし、かつ極端な前乗りになっていた。それが原因でライド中にデリケートな部分に大きな痛みが出てしまう問題も抱えていた。サドルが高くて極端な前乗りになってしまっているのもよく見られる例だ。
指導の結果、以前よりも股関節をうまく動かせるようになり、脚も上がってくるようになったため、サドルを下げてサドル前後位置も後ろにすることが可能になった。
本番のタイムは……1時間19分26秒! 一般女子のクラスで17位と、順位もなかなかだ。
「1時間を超えるレースでもサドルに座っている部分に痛みが出なかったのは大きいです。訓練したスクワットの動きと、高い位置からトルクをかけていくことを意識したのは大きく貢献したと思います。また、何度か試走に行きましたが、都度シマノ・コネクトラボのデータで検証できたこともかなり意味がありました」とまぬる猫さん。
「シマノ・コネクトラボのデータで見ると、トルクのピークが120°寄りにきていて、若干踏み遅れ気味だったのかな、という印象です。ただ、最後までパワーがそれほど落ちることなく維持できているので、その点ではうまく走れていたと思います」と福田コーチ。
まさかの落車に巻き込まれ……しかし最後まで粘って走れた
茨城県在住で40代男性の松島寿樹さんは、2022年大会ではチャンピオンクラスで20番台に入っており、かなりの実力者だ。今回は同クラスで上位入賞を目指していた。
体力レベルが高く、独特ではあるがフォームとしては完成していた松島さん。しかし、時間が経つにつれて、あるいはパワーが上がるにつれてペダリング効率にばらつきが出てくるのが課題だった。トレーニングの結果、ある程度そのばらつきが抑えられるようにはなってきた。また、顎が上がる癖も改善されてきた。
そして本番……。まさかの目の前で起きた落車を避けきれず、巻き込まれて大きなタイムロスをしてしまった。しかし、そこから最後まで諦めずに走り、1時間2分33分で42位と、落車で大きくタイムを失ったにしては好成績だったと言えるのではないだろうか。
「落車をくらって心が折れそうになったけれど、ペダリングのことを意識しながらゴールまで走り切ろうと思って、最後まで続行しました」と松島さん。
「シマノ・コネクトラボの時系列グラフで見ると、後半からパワーの低下が見られ、かなり厳しい状況だったことがうかがわれます。しかし、パワーの低下に対してペダリング効率と左右バランスが大きく変わることなく維持できているのが良い点です。自分なりに最大限の走りをしたのだと思われます」と福田さん。
「課題が残るのは、やはり高いパワーになるとペダリング効率が落ちていく点です。340Wくらいに閾値(しきいち)があって、そこからペダリング効率が伸びていきません。これ以上のパワーになると無理やりペダリングして出していることを示しています。今後は高トルクになってもペダリングに乱れが出ないように訓練していくことがカギとなります。特に、松島さんはツール・ド・おきなわの市民レース210kmにも出場されるということで、アタックがかかるロードレースでこれはより重要です」と、さらに福田さんは今後に向けての課題を指摘した。
自分自身を客観的に見つめてみよう
約2か月弱のモニター期間を経て、それぞれ改善点・課題点が見えてきた3人。
「もともとは上半身を大きく揺らしてでもパワーを出した方がいいと思っていた節がありましたが、それは効率が良くないということに気づかされました。また、ペダリングを上達させるためには、自転車を降りてスクワットなどの動作で体の動かし方から改善していかないといけないということも、考えたこともありませんでしたね。
動画を撮ってチェックしてもらったり、シマノ・コネクトラボのデータでも確認したりと、自分の姿を見つめていくことが大事だということを学びました」(杉本さん)
「今まで“パワーの中身”まで考えたことなんてありませんでした。自分のペダリングで踏み遅れが出ているかとか、どこでトルクがかかっているかなんて、全然気にしていなかったんです。シマノのパワーメーターだと、そうしたことが逐一チェックできて、役立てられました」(まぬる猫さん)
「40代という年齢を考えると、がむしゃらに乗っているだけでは強くなれないことは分かっていました。伸び代は走りそのものを改善することなんだと、今回の企画を通じてより理解できました」(松島さん)
3人から共通して聞かれたのは、“自分の姿を客観的に見つめ直すのが大切だと思った”ということだ。福田コーチのようなプロに指導を受けるのは難しい人もいるかもしれないが、まずは自分の走りを客観的に見てみることからスタートしてみてはどうだろうか? 特にそれは、シマノのパワーメーターと、そのデータを見てみれば一目瞭然だ。